EmoFreak’s blog

限界オタクが韓国ミュージカルを観て感じたことを忘れないように書き留めていくブログです。

【観劇覚え書き】18.08.17 20:00 프랑켄슈타인【전동석×한지상】

●8/17 20時 チョン・ドンソク×ハン・チサン
13列下手側サイド

 

※※※以下の文章は90%くらい私の誇大妄想なので、実際の公演とはだいぶかけ離れている可能性があります!!ご注意!!!※※※

 

というわけで2度目の渡韓です!ドンチサのための渡韓!
結局7/21のミンウン書き終えられないまま来てしまったのですが、忘れたくないのでドンチサから先に書きます。
ソウルマッコンもとうの昔に過ぎ、大邱公演が始まっているというのに……仕事とプライベートでどたばたしすぎてこんなタイミングになってしまいました。反省。
前置き考える時間がもったいないので早速本題へ。

まずは……

ドンビク髪切った!!!(そこ?w)

刈り上げがいかにも刈りたて~!て感じで、後頭部とかだいぶ短くなってました。結構な違和感w
短い刈り上げ好きじゃない民なので、個人的には前のほうが好きだったのですが、あれだけ顔とスタイルがいいと多少の髪型の違いは誤差みたいなもんですね。
翌週には既に結構伸びてて、刈りたて!感はなくなっていました(笑)

 

さて、今回のドンチサのテーマは「右手」と「右頬」。
7/20に見てから、日韓それぞれのファンの皆さんのレポを参照しつつ、今回どうしても確認したいことがありまして。

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この写真でもわかる通り、チサンけむるは最後まで右頬に血がべったりついているんですね。
これ、偶然じゃなくて、毎回右頬だけに意図的につけているようでして。
この血糊が、チサンけむるを考える上の大きなヒントになります。

7/20公演のブログにて、

"苦しそうに呻きながら、一度はビクターに向けた銃を自分に向ける。この時点で表情が完全にアンリになったように感じたのです。"

と書いたのですが。

右手→ビクターに銃を向ける
左手→左手を抑えるようにして銃を奪い、ビクターに渡す

だったんですね。
右手はけむる、左手はアンリ、と二人の人格を共存させていることが表現されていました。
それなら、二幕通してその点を踏まえた上で見たらまたわかることが増えるのでは?と思い、今回はチサンけむるの一挙一動を必死で追いました。

 

 

ひとまず先に、「右手」から紐解いてみます。以下、一幕終わりからシーン順に箇条書きで。

 

・ルンゲの首を噛み千切り、血のついた右手を「これはなんだろう」という風にしげしげ見る
・実験日誌を持つ→落とす
・闘技場で初めて人を殴ったのも右手
・湖のシーン、子供の頭を撫でて突き落とす
・ビクターの足を刺す
・ビクターに銃を向ける
・全体を通して右手首は関節がねじまがっていて、掌ではなく手の甲側を床につくことが多い

 

などなど。これら全てが「右手でのみ」行われていることでした。また歌の表現で手ぶりをするときも基本的には右手を使っていたように思います。

 

そして、もう一つ考えたいのが「右頬」。

ここで鍵になるのは、「부탁이야 친구(お願いだ、友よ)」のシーンです。
7/20の時点では、ここはおでここつんの萌え爆撃シーンだったのです。しかし少し前におでここつんがなくなっていると聞き、왜!!!!!とビクターばりに絶望した……のですが。
なくなったのには、きちんと意味があったのかも……。

この回の「ぷったぎや、ちんぐ」はこんな感じでした。

 

ビクターの「質問ですか、命令ですか」を見てつい笑ってしまうアンリ

(中略)

ビクターが左手でアンリの右頬を撫で、顔を覗き込むようにして「ぷったぎや、ちんぐ」

全くこの人は……という感じで小さく笑うアンリ。ルンゲが行ったのを見届けたあと、客席に背中を向け天を仰ぐようにして♪けれど君は を歌い出す

歌い終わり、もう一度天を仰いでにっこり笑う。暗転

 

7/20みたいな、どんがらがっしゃんと落っこちてしまった!!!感はなかったので、萌えポイントは減。(笑)
ですが、ここでビクターがアンリの右頬を撫でることが、チサンアンリ/けむるにとってはとてつもなく大きい意味を持ちます。
(ちなみに、この日以降に見たドンビクはどのアンリ相手でも全く同じように頬を撫でて「ぷったぎや、ちんぐ」していました。)

 

けむるとして再び生を受けてから、右頬にべったりとついたままの血。
ビクターの代わりに被った罪が浮かび上がってきた、と取るか。
触れた左手から侵食したビクターの呪い、と取るか。
あるいはその両方かもしれません。
どちらにしても、チサンけむるの右頬の血は、ビクターの罪や呪いの象徴だということがはっきり言えるようになったのでは?と思います。
この妄想が的を射ているとなると、♪逃亡者 の、生まれた時から呪いを受けて~というような詞にも視覚的な象徴が加わり、けむるの呪い=ビクターの呪いという結び付きもより強調されますよね。

 

そして、この解釈は♪俺は怪物 で真骨頂を迎えるのですが……それはまたのちほど。

 


というわけで、今回の重要事項はこんな感じ。
ここからはひとまず、頭から覚えている限り書き出していきます。
特にやばいと思ったところは★マークつけときました。(超主観)

 

【怪物誕生シーン】

・鉄のベッドに寝かせたあと、「起きろ……」と囁いてけむるの右頬を撫でるドンビク。もうここから伏線は散りばめられている……

 

【♪ワーテルロー

・中尉に突き飛ばされ、跪いて中尉を見上げるチサンアンリ。自らの信念のもと反論するも、もどかしさと同時に微かに諦めを感じる。
自らを省みず、跪いたまま信念を貫く姿……これもあとで書くノエクメへの伏線/対比として受け取れるかもしれない。

・ドンビクの登場シーン。アンリの名前を呼び高らかに笑う姿、何回見てもここは「やっと手に入れた」としか表現できないなと……やっと会えたとかやっと見つけたとかでなく、もっと傲慢な欲を達成したという感じ。この回はそれをいっそう強く感じました。

【♪ただ一つの未来】

★この回のドンビクは最初から完全に闇堕ちモード。
他の回とあまりに違ってびっくりした部分が多々あって、ここの歌前の会話もそのうちの一つでした。

★チサンアンリの反論に対して、猫なで声で挑発するように「ねが?」と笑って顔を覗き込むドンビク、ってところがあるんですけど(細かい台詞の意味はわからないのでフィーリング)、この日のドンビクは恫喝するように「ねが!!」と強く言い切ったんですよね。ちょうどシュテファンに口答えしてるときみたいに。
ここの口調が強かったのは私が見た6公演中この日だけだったはず。
猫撫で声煽りがめちゃくちゃ好きで楽しみにしてたのに、この回だけアプローチが違ってびっくり&ゾクゾクした覚えがあるので。

・曲中も高圧的で有無を言わせぬような方向性。「大きく目を開け見るんだ~」のあたりも、ほかの日より硬質な響きが強かったような……。
そしてまんまと心を操られてしまうチサンアンリは、そうかもしれない……いやそうだ、と二度頷く。「科学は殺人の道具 人は滅亡へ突き進む」のあとの「くれ!」もいつもより強め。

・アンリが手を取ったところでようやくにんまりと笑い、握手した手を確かめるように何度も振るドンビク。その間もずっとビクターを見つめ続けるチサンアンリ。
アンリだめだその男は!!!って思ってしまった……まだこの時点では引き返せたかもしれないけれど、このあとにさらなる地獄が待っている……

・チサンアンリも、まだここでは自分の信念とビクターの理想が完全に重なっているわけではないことは理解していて、まだ完全に心酔しているわけではないんだと思います。けれどもしかしてこの人なら、と希望に揺らいで手を取ってしまった。恐る恐る足を踏み出そうとしている段階。

 

【♪けれど君は】

・将軍に戦争の終わりを告げられ、明らかに落胆して声のトーンが落ちるドンビク。戦争を研究を続けるための都合のいい隠れ蓑として考えている部分があったってことなので、それだけでも研究を前にしたドンビクの恐ろしさがわかる……。

・会話を聞くチサンアンリは、後ろ手に組んだ指をちょっと動かしてみたり、唇を噛んだりしてわりと落ち着かない。ビクターが「質問ですか、命令ですか」と楯突くのがおかしくてつい下を向いてにやついてしまう。笑いをこらえるために唇を噛んで顎を上げる。

・将軍がいなくなったあとは、足疲れたな……とばかりに右足をぶらつかせるチサンアンリ。結構適当な感じ。あんまりストイックな軍人ではないのかも。

★「質問ですか、命令ですか」「お願いだ、友よ」。
ここに来てようやく「友よ」なんて甘く囁かれたら、そりゃときめいてしまいますわな……飴と鞭の使い方を知っている悪い男…………
医学界からは異端児だと罵られ、軍では謀反と言われ。
そんな自分の研究の価値を本当の意味で必要としてくれたのはきっとビクターが初めてだったんでしょうね。それで最後の壁が崩れ、完全に足を踏み外してしまったという……

★なんというか、アンリはどのキャストでもわりと「まともな人間」寄りに作られていると思っていたんですけど、チサンアンリには少なからずビクターの狂気と通ずるものを感じるな、と。
ドンビクの狂気が自ら導き出した信念なら、チサンアンリの狂気は理性では抗えない域まで達した信仰。
ビクターに出会う前から生命を救うことに対しては並々ならぬ熱を持っていて、けれど一度止まった心臓を再び動かすことだけはできない、と自分に枷を嵌めて自制していた。その枷すらもビクターに取り払われてしまって、制していたものが溢れ出してしまった……みたいなイメージ。

・親も兄弟もいない、ということしか生い立ちがわからないアンリですが、人体接合にこだわるようになったのにはこの家族のことがきっかけになっていたりするのかな、と勝手に考えたりもしました。
ビクターと同じように救えなかった人がいたとか、あるいは拾い育てられた修道院での教えとか、そういう……まあこれは妄想なんですけど……

・ここでも後ろで組んだ手を少し組み直したりして動かしているチサンアンリ。心の揺れ動きが目に見えてわかる

・歌い出しはやはり客席に背を向けて。恋に落ちた瞬間の顔は見せてくれないのねw

・歌い終わり、天を見上げてにっこり笑う。これはチサンアンリいつもやってます。本当に清々しい笑顔。

・そしてこのとき花火を見上げる立ち位置、湖のシーンで「星になりたがっていた友達」と星を指差すシーンとほぼ同じだということに後から気づいて頭を抱えました……。

 

【♪平和の時代】

・見事に緊張して空回りまくるチサンアンリ。そして圧倒的に空気が読めない!
「てだに……」のあと、ルンゲに引きずられながらまだ何か言おうとしていて諦めが悪いwかわいいww

 

【♪孤独な少年の物語】

★曲前まではまだエレンとの距離を測りかねているチサンアンリ。
曲前の「ビクターとのご関係は?」「友人です」に対し、曲終わりには「私にとってビクターは友達以上です」と伝え直します。
この「友達以上」の台詞の前、ルンゲが聞いていないか後ろを確認してから一歩近づき、囁くように打ち明けるんですね。そんな大げさなことを言うのは気恥ずかしいとばかりに。それでもエレンにはきちんと伝えておきたい、って気持ちが伝わってきて胸が苦しくなります。
「ビクターと共に夢を見たくてここまで来たのです」なんてはにかんで言う、ときめきしかない美しいシーン。
でもこの回に関しては、あの冷徹闇堕ちビクターと一年以上共にいて、これだけ一途でいられるチサンアンリも相当ヤバいやつだよなあ……という危うさが頭の隅に引っ掛かって、雷雨と共にすぐそこに迫る悲劇の気配を感じずにはいられませんでした。

 

【♪一杯の酒に人生を込めて】
★本日のアドリブ
「(倒れ込んだドンビクに覆いかぶさるように顔を覗き込んで)ビクター、大丈夫か?」
「…………」
「大丈夫じゃない?」
「……お前、誰だ……?」
「僕、僕だよ(抱き起こして椅子へ)」
「…………?????(おじいちゃんみたいに目細めてアンリを見るも未だにわかっていない様子)」
その後もしきりに目を細めていたドンビク。子供っぽさは控えめ。
そのおかげで、このシーンのアンリとのやりとりもこの回はわりと大人の男たちの酒の席という印象が強かったです。
翌日のドンミンでは院生の自棄酒カラオケオール!!!みたいな感じだったのに……(笑)

★歌い出しの「一杯には憂いを注ぎ」のところで、それぞれの杯に憂いや怒りを指先からぱらぱら落とすようなジェスチャーをして指を鳴らすドンビク。「びおねじゃ、どろねじゃ」のところでアンリの杯の淵を人差し指でゆっくりなぞったりする。端的にエロかった。さっきまでおじいちゃんみたいな顔してた人どこいった???

・ラストのダンスパートにて。最初にチサンアンリが見てろよ?とジェスチャーするのでアンリ踊るのをじっと見て振りを覚えるドンビク(笑)そして気合い入れて二人で踊る(笑)かわいかった……

 

【♪殺人者】

・「自分がやりました」と言い放つときは毅然としているのに、ウォルター母に詰られるとそちらを少し見上げて「あ……」って顔をする。そこで初めて殺人の罪の重みを理解したみたいに。

・ドンビクが「恐れてなどいない……」と呟く声のなんと弱々しいことか。本当は恐れている、というよりは、完全にキャパオーバーしてしまっている、という感じ。実験もうまくいかず殺人まで犯してしまった。また呪いか、と。

 

【♪私はなぜ】

・鏡に一瞬映る狂気の笑み

・上手側を向いて跪き、悔しそうに俯いて目を瞑ったりしながら狂気と理性の間で揺れ動く。

・最終的には鏡を投げ捨てて自白を決意。裁判官に問われ、自白する前までは天を仰いで目を瞑っている。そしてしぼり出すように囁きながら自白、し始めたところでシュテファンが遮る。

★この場面、ジヘジュリアはシュテファンになんとかして!!って必死に訴えているんですよね。とにかくビクターを助けて!って……そしてビクターの自白が取り下げられてほっと胸を撫で下ろす。
その直後にアンリの死刑が宣告されて、「あ……」って顔をするんです。ビクターが助かることを最優先にしたら、アンリは濡れ衣を着せられたまま死ぬことになってしまった。「ビクターのためにアンリを切り捨てた」ともとれるシーン。仕方のないこととはいえ、残酷だな……と思わざるを得ない部分もあって、毎公演見るのがしんどいシーンです。
ちなみにシハジュリアは常におろおろしていて、シュテファンの発言を促すようにすがりついたりはしません。ジュリアの描き方もお二方でかなり違うので、今後もっと掘り下げて見ていきたいところです……!

・連れ去られていくときのドンビクは、必死に訴えかけるというよりはただ自分がやったということを一方的に主張しているって感じ。アンリのため、以上に自分の尊厳のため、というのを感じる。泣きの演技はなし。

 

【♪君の夢の中で】

★★★この曲で涙が止まらなくなったのは初めてでした。本当に凄まじかったのでここは長々と書きます。

ここでもまだドンビクは"静"。感情が抜け落ちてしまったような顔でアンリに会いにきます。
「君が生きてこそ研究が続けられるんだ!だから、僕の代わりに生きてくれ……友よ」
文字にするだけで凄まじい呪いであることは明白なのですが、この回のチサンアンリの気迫は「壮絶」という一言に尽きる凄まじさでした。

この曲前台詞の終盤、チサンアンリが声を震わせてしゃがみこんだんです。
立ち竦むビクターを懇願するように見上げて、「僕の代わりに生きてくれ、友よ」と言い放つ小さな背中だけが客席に見えていて。どんな表情をしているかは見えないのに、その背中と、震えながらもしっかりと芯を持った囁きが、アンリの恐怖と決意を痛いほどに訴えてくるんです。
そして、「出会った日を思い出すよ。覚えてる?」と語り始める。この台詞の声の震え方、気丈に振る舞って無理に笑っているのだろうという響きで……
常に声は震えていて、足は竦み、ビクターから少し目を逸らすだけで心が引き裂かれる。その恐怖を力ずくで凌駕するような決意と信念が歌に乗る。凄絶な絶唱でした。

チサンアンリはしゃがんだまま、祈りを捧げるように歌い始めます。
「君の信念、君の意思」のあたりでドンビクがかぶりを振りながら崩れ落ちて、そこでようやく二人の目線が同じ高さになったんです。
彼らは友と呼び合っていたけれど、この回のドンビクは明らかにアンリと同じだけの想いを返せていなかった。完全に対等な関係とは言えなかった。でもこのシーンでようやく、「友」としてきちんと向かい合えた……という風に私は感じました。

どのアンリよりもずっと長い間ビクターを見つめ続けるチサンアンリは健在。終盤までビクターに背を向けて立つのは「今まで生きた人生~何故」のところだけ。
そのあとすぐにまた振り返り、ビクターににじり寄るようにして再びしゃがみます。

「出会ったあの日に定められた運命」で力なく首を振るビクター。言い聞かせるように必死に訴えかけるアンリ。そしてビクターが請うように右手を伸ばして、その手を取るためにアンリがさらに近づき、両手を取って見つめ合い「泣かないと約束してくれ」。

この回において、ドンビクが本当の意味で「友」の存在を求めたのはこのシーンが初めてだったのでは……?

でもビクターは目を合わせていられなくて、顔をぐしゃぐしゃに歪めて俯こうとする。ちゃんと僕を見ろ!とばかりに額を合わせるアンリ。
いつか自分がされたのと同じように左手で頬を撫でて、「諦めないと約束してくれ」と言い、一度は離れようとする。
でも、すがりつくドンビクの手から逃げられず、衝動に突き動かされるままにもう一度その手を握ってしまうんです。そしてもう一度、「一緒に夢見ることができるなら」と見つめ合う。
その後、「死んでも大丈夫、幸せだ」で今度こそ意を決して離れ、へたりこんだままビクターに背を向けるアンリ。そして、格子越しに伸ばされたビクターの腕が力なく地に落ちる、っていう……。

ここで私の涙腺は完全に決壊しました。

続いて。
アンリは「僕の持つ全てを捨てても」で立ち上がり、「君の夢の中で生きられるなら……」で俯いて両手を振り下ろして「나!(僕は)」と自分に言い聞かせるように吐き出す。
そんなアンリの激情を冷たく突き放すように、ビクターが格子から引き剥がされ連れて行かれるわけですが、このときのドンビクの必死さは自白を取り下げられたときとはまるで桁違いで。これまでアンリにどれだけのものを与えられてきたか、ようやく気づいたんだなって……遅い……遅いよ…………

泣き叫びながら連れ去られるビクターを追って、また格子に駆け寄るアンリ。名残惜しそうにビクターがいたほうを見つめながら歌い出し、ここからまたさらに迫力が二段階くらい増します。
魂の残り一滴まで絞り出すような叫び。祈るように手を組んで、「どうせあの日君に出会っていなければ~」と歌う。
チサンアンリにとってのビクターは、既に"救世主"そのものだったんだなって……(突然のポエム)

「君と一緒に夢見ることができるなら」の"夢見る"、「死んでも大丈夫」の"大丈夫"ではこらえきれず涙声になってしまう。階段を登る足は震え、「僕の持つ全てを捨てても」で足を踏み外して転び、手すりにしがみつきながら登りきる。

ビクターには見せまいと必死に抑えていた恐怖や未練が、アンリの体を一気に支配していきます。

断頭台の前まで来ると、やっとのことで声を絞り出すような状態に。それでも「君と一緒に」からもう一度自分を奮い立たせて「君の夢の中で」まで歌いきる……のですが。やっぱり恐怖と悲哀がどうしても込み上げてきて、涙を隠し顔を覆うように手を組み、その手を振り下ろすようにして「生きたい!」と叫び天を仰ぐ。

チサンアンリのノエクメは、この「生きたい」が全てだと思います。

本当は生きたかった、君と一緒に生きて夢の続きを見たかった……という無念が歌声に叩きつけられるようで。聞いていて胸が張り裂けそうなくらいの激情。アンリの最期の叫び、壮絶すぎます……。
ビクターが連れていかれてからはもう涙が止まりませんでした。あんなにだばだば泣いたこと自体久しぶりだったもので、♪生命創造 に入ってもしばらく涙が止まらず……えらいものを見てしまった……

正直、この曲はもうチサンさんじゃないと聞けないかも、という気持ちすら芽生えました。それくらい私の中でがっちりピースがはまった。

この感覚は濱田めぐみさんのマッドハッター聞いたとき以来ですね……

 

【♪偉大なる生命創造の歴史が始まる】

・上手側にアンリの首を掲げた後ろ姿、この回のドンビクの冷徹さもあいまってより一層恐ろしく見えました……

「いろなりらーーー!!!」で完全にスイッチが入ったのがわかった。いざ息を吹き返さんとするアンリの姿を見て振り切ったみたいな……
ここのロングトーン、声がものすごくよく伸びていたので、単純に喉の調子がよかっただけかもしれない(笑)この日とこの次の日は特にドンビク絶好調だなっていうのが素人の私にも伝わってきました。見られてよかった。
「맞서」の叫びはもちろんあり、さらに「생명의 시대」の伸ばしが長め&叫びあり、ととにかくてんこもり。「ちぇばる、いろなーーー!!」の叫びもまさに絶叫。やっぱり喉の調子がよかっただけかもしれない(二度目)

・けむる誕生後もやっぱりなんだかいつもより"静"なビクター。「狂った子供」ってイメージが強かったドンビクにしては珍しい感じで……「アンリ?私だ、ビクター……」って呼び掛けもすごく理性的な響き(内側に渦巻いてるのは純度100%の狂気)で、なんか私の知ってるドンビクと違う……という印象は変わらず。

・銃の暴発(笑)最前のお客さんびっくりしたでしょうね……

・「あんでー!」のあとのシャウト、私が見たドンビク6回の中で圧倒的に最長かつ頭から完璧に音程もハメてきて、やっぱり喉の調子がよかっただけ(三度目)
あまりに長すぎてオケも若干困惑してたんでないかと(笑)

 

続いて二幕!

この回はビクターとアンリの関係を追うのに必死すぎて二幕前半がうまくまとまらなかったので、色々すっとばしていきます!

 

【♪お前は怪物だ!】

・ドンジャックはいつも最強かわいい!!完!!!(レポとは?)

・焼き鏝押しつけたあとの歌い出しがやたらエロい。ここ、回を増すごとに色気が増しているような気がしてゾクゾクします。
ジャックは倫理的に破綻していればいるほどいいと思っているので、この方向性とっても好きです。もっともっと色々見せてほしい~~~!!!欲深いオタク

 

【♪そこには】

・言葉が出そうで出ない、出かかっているときの「んん……」っていう唸り方とか、喋れるようになりたての「あんにょん……?」とか。あまりにかわいくて、かわいそうで、チサンけむるは見てるだけで涙腺が緩んでしまう……

・「俺が怖くないのか」「俺は人間じゃない」でカトリーヌの頭をぐっと抱えて襲いかかるふりをする。このときの二人の絡み方、すごく美しいラブシーンのように見えるんだけれど、二人の間にあるのはそういうありきたりな愛情ではなくて、共鳴というのが近いのかなと。心の底に積もった悲しみが共鳴して、温かい心の繋がりが生まれる……そんなシーンだと思います。


【♪俺は怪物】

 ★★★ブログ冒頭にて書いた「右頬」の件の続きです。

「昨日初めて夢を見た~」の直前、嗚咽していたチサンけむるが自分の右頬を撫でたんです。

「誰かが抱き締めてくれる夢」……アンリの記憶、ビクターが撫でてくれたかすかな感触にすがるように、右頬に手を添えて歌う。
そして、「その夢の中で生きることはできなかったのか」では自分の体を自分でぎゅっと抱き締める……

★この、なんけむるで頬に手をあてる、というのは7/20にはやっていなかったと思います。そして8/23でもやっていなかった。で、ソウルマッコンの8/26にはまたやっていました。出現条件があるのでしょうか……???

「ぷったぎや、ちんぐ」のシーンも、7/20のドンビクは「ぷったぎや、ちんぐ」で頬は撫でず、右手でアンリの頭を支えておでここつん、だったはず。
となると、ドンビクがおでここつんではなく頬を撫でるようになったのは、あえて意図してのことなんじゃないかなと思うんです。けむるの右頬の血糊の描写をより活かすために。

お二人で擦り合わせてそうしたのか、それともアドリブとして演じていく中でお互いに合わせていったのか、どっちなんだろう……どっちにしてもしんどいんですけど…………
どうか私の誇大妄想であってくれ、ってくらい重い…………重すぎる…………

ドンチサ推しててよかったなって心から思いました………………。

 

・余談。日本版小西怪物の場合、♪そこには のカトリーヌとのシーンがかなり”初恋”に近いニュアンスで描かれていたような記憶があります。
さらに♪俺は怪物 で「胸の丘に顔を埋めて」みたいな表現の詞があって。「昨日初めて見た夢」で女性(カトリーヌ)に抱き締められたように匂わせているので、演出の意図としても二人の繋がりをロマンチック方面に持っていってたような気がするのですよね。加藤怪物は全くそんな気配なかったけども(笑)
韓国フランケンはあまり怪物とカトリーヌの間にロマンチックな空気は感じられないので、ここも結構大きな違いなのかなと思います。

でもよく考えてみたら、韓国フランケンの歌詞では

♪君の夢の中で ⇔ ♪俺は怪物 
「君の夢の中で生きたい」⇔「その夢の中で生きることはできなかったのか」

というのが、アンリと怪物を描く上ですごく重要な対比になっているんですよね。

それなら、この「夢」においてはなによりもビクターの存在が一番大きいはずなんですけれど……
そう考えると日本版の訳詞ちょっと不足じゃない……?再演では修正していただきたいポイントかもしれない……

でも翌週のドンチサではオーロラの手振りがあったりしてむしろカトリーヌとの繋がり強めだったりもしたし……うーん……難しい…………


【♪傷】

★アンリか、アンリになろうとしたけむるなのか。リトルビクターにかける声はどこまでも静かで優しく、アンリだ……アンリが帰ってきた……と思わずにはいられないような穏やかさでした。

ここで書いておきたいことが一つ。

「星になりたがっていた友達」で、星を指差すのは左手なんです。

単に観客が見やすいほうにしてるとか、リトルビクターとの位置関係の問題でしょ、と言ってしまえばそれまでなのですが、それまで何かを指し示すのにも右手を多く使っていたチサンけむるとしては珍しいことのように思えたのです。他のビクターとの組み合わせの他の日でも、ここのシーンは左手で空を指していました。

・「おじさんは人に作られた生命なの?」と問われるまでは一貫して穏やかな声で、私のおぼろげな記憶では、歩くときに右足も引きずっていなかったように思います。だからけむるの中にいるアンリの部分がかつての親友ビクターのことを語った、あるいは創造主に愛された「アンリ」のふりをしているけむる、のどちらかだろうと勝手に思い込みながら見ていました。

・「首の傷……」と言われたあとはけむるの声に完全に戻りました。自分は人間でもなく"アンリ"でもない、と思い出させられた。それも、他でもない創造主の幼い頃の姿をした子供に。
そして右手で子供の頭を撫で、湖に突き落としたあと、「ある怪物がいた~」と嗚咽する。
このときの呻くような声が、なんけむるの「昨日初めて夢を見た~」の前の嗚咽と同じなんですよね。アンリの記憶の断片が戻り、自分には与えられなかった愛の存在に苦しむ。そんなけむるの苦しみや悲しみ、葛藤を表すのがあの呻きなんですね。

★チサンけむるの場合、湖のシーンは実際にあった出来事ではなくけむるの心象風景なのではないかなと思いました。
湖にリトルビクターを落とすけむる⇔転んだリトルビクターを助け起こしたアンリ、と対比になっていることにもこの日ようやく気づきました。シーン一つ一つがものすごく緻密に練られている……この僅かな会話が、けむるにとって、本当の意味でのビクターとの決別になったのだと思います。

アンリの存在と、創造主への怒りや悲しみの間で揺れながら選んだ決別。
悲しみと怒りから始めた復讐も、本当にこれで自分が救われるのか?と一度は立ち止まってしまった。「俺も迷ってしまった」という台詞も、そういう迷いを意味していたんじゃないかなと。
けむるの望みは「一人の人間として誰かに愛される」こと。だから、創造主に愛されたアンリの欠片が自分の中にあることは、とてつもない葛藤を生んだことだろうと思うのです。

自分はアンリではない。
でもアンリは愛されていた。
アンリになれたなら愛してもらえるのか?

そういう思いとの決別も、このシーンのテーマなのではないかな……と。

自分の中に確かに残っているアンリの記憶や魂は、ビクターへの愛をひたすらに訴えかけてくる。アンリの記憶が戻り、ただの好奇心で自分が生み出されたわけではないこともわかった。
それでも、自分はアンリにはなれない。孤独という呪いをかけ、自分自身を愛してくれなかった創造主への悲しみも消えない。だから復讐するしかないのだ、というけむるの悲しい決意が、あの嗚咽なのだと思います。

さらに、アンリとして歌っていた部分について。けむるの中でまだ眠っているアンリもまた、ビクターへの決別をしたのではないかなと考えました。
生前はビクターの夢に魅入られ、常にビクターの思想や意思を肯定して寄り添っていたアンリ。アンリの声でビクターのことを「ただの弱い男」「無責任な夢に過ぎなかった」と語るのは、アンリの記憶を得たけむるなのか、それともアンリの魂自身なのか。

けむるの苦しみを一番近くで感じていたからこそ、ビクターの過ちを理解し、悲劇に終止符を打つことを選ぶことができた。
そしてそれが、最期の「ビクター、これが僕の復讐だ」という台詞に繋がっていく。

そう考えると、けむるとアンリという二人の人格それぞれにストンと整理がついて、湖のシーンと北極のシーンの台詞の解釈が一気に繋がりました。

・この湖のシーン、いつもすごく頭を使いながら見るんですけれど、はっきりとした答えが見つからないまま歯がゆい思いをするんですね。「決別」という大きな枠組みはわかるんだけれども、それぞれのけむるがどういう心境で決別に向かうのかがうまく読み解けないことが多くて。
そんな中で、この回だけはストンと自分の中に落とし込めたかなと思っています。

問題なのは、8/23の湖のシーンはまたニュアンスが全く変わっていたことなのですが………………(笑)(笑)(笑)


【♪絶望】
・目を伏せて口元を歪め、憔悴した創造主を嘲笑うけむる。生命創造装置のレバーをかつてビクターがしたように倒して不気味に笑う。歌いながらしげしげと装置を見つめ、排気用の太いパイプ?みたいなところを撫でたり……

・薄暗い研究所で、仰々しく組み上げられた鉄屑の中から産み出されたことを目の当たりにし、けむるはより深く絶望を感じたことだろうと思います。
自らを産んだ装置を壊すということは、親を殺すという意味も少なからず含むのかも……と思ったりしました。創造主の片割れとしての生命創造装置。

・装置を失ったドンビクは目に見えてボロボロになります。唯一自分が積み上げてきた拠り所を失い、最後の命綱が切れてしまったみたいに。「頼む、殺せ」とうずくまって手を擦り合わせながら懇願する姿はいつ見ても哀れで愚かで、一幕のような自信に満ち溢れた姿はどこにもない。積み上げられたプライドが音を立てて崩れていくよう……

 

【♪後悔】

・ジュリアの遺体を目にして、あとずさり壁にぶつかってそのままへたりこむドンビク。遺体から目を離せず、しかし近づくこともできず、壁(柱?)に縋りついて弱々しくもがく。

・ジュリアの亡骸にようやく近づいたときも、まずは頬を撫でるんですね。きっとこの「頬を撫でる」は、誰かに愛を与えることがなかったドンビクが、唯一知っていた愛情表現なのでしょう。

・ジュリアの亡骸を強く抱きしめて、あやすように体を揺らしながら歌う。そして眠っている人にするうようにコートを肩までかけてあげて立ち去る。ドンビクはいつも、失ってからようやくその人への想いに気づくんですよね……なにもかもが手遅れ……


【北極】
・ドンビク「もう終わりにしよう」

★銃を右手から左手が奪った瞬間に、ハアッと大きく息をつく。人間らしい息遣いに穏やかな横顔。アンリが完全に蘇った瞬間です。

★★そして撃たれた直後。「この誰もいない北極でたった一人死んでいくのだ~」的なけむるの台詞。一度はアンリになったけむるですが、ここでは再びけむるに戻り、苦しみと憎しみを露わにして不気味に笑いながらドンビクににじり寄ります。おぞましい姿を目の前にしてドンビクは「来るなああ!!」と必死に叫んであとずさるのですが、ここで「ビクター、ビクター……!」とまたアンリが戻ってくるんですね。

目も口もあんぐりと開いたまま固まったビクターに、「もうわかっただろう?ん?」と優しく微笑む。このチサンアンリの、「ん?」っていう、子供に言い聞かせるような声は回によってあったりなかったり、使われるタイミングも違います。
そして、額を合わせ、今度はアンリが右手でビクターの左頬を撫でて、「これが、僕の、復讐だ」と穏やかに笑って息を引き取る。

★このおでここつんはノエクメの「約束してくれ」の再現。「約束」⇔「復讐」の対比、と考えたときに、また一つ思い浮かんだことがありました。

チサンさんの場合は完全にアンリとしてビクターに微笑みかけるのに、「復讐」と言うのはなぜなのか。

結局、ビクターは「何があっても諦めないと約束してくれ」というアンリとの約束を守れなかったわけです。アンリが命を捧げてまで信じた夢を、ビクターは一度きりで失敗と決めつけて放棄してしまった。
ルンゲの死さえなければ、というたらればはありますが、約束は約束。あれからビクターが夢を諦め、ただ平坦な日常の中で怯えて過ごすだけになってしまったなんて、その夢のために命を捧げたアンリからしたら裏切りも同然なわけで。
「なんでこんな情けないことになっちゃったんだよ」という無念と、自分の存在がビクターにとってこれほど大きなものだったのかという喜びが混ざり合っていたような感じがします。
「ん?」とか、笑い方とか、「まったくしょうがないなあ」って言いたそうな顔していたんですもの……
そういう色々な感情をひっくるめて、あるいはちょっとした冗談も込めて、「復讐」という言葉を選んだのではないかな、なんて考えたりしました。

★★さらに、対比ということでもう一つ。
北極の一番高いところでの咆哮のあと、息絶えたアンリの亡骸に向かって「ちぇばる、いろな!!」と言うときに、この日は1幕の怪物誕生シーンと全く同じように胸を叩いていました。
オープニングの再現をエンディングでやるという凄まじいぶっこみ!!!
このニクい演出、ものすごい勢いで刺さりました。でもこの後はもう同じようにはやっていなかった……。この1回きりしかオープニング再現は見られていません。無念。またどこかで見たい。

 

【カテコ】

・チサンさんがドンソクさんを立てるみたいにして客席の歓声を煽る~!照れ照れするドンソクさんかわいいw

・そのあとチサンさんがちょっと前に出てきて、ひざまずいてドンソクさんに向かって両手広げて、そこにわ~って飛び込んでくるドンソクさん(体格差によりなんかもみくちゃになるwww)

・そして二人で大きなハートを作って幕が下り終了~、というほっこりかわいい終わり方。だったと思います。正直いろいろ記憶がおぼろげ。ハートは確実にやってた。かわいかったです!!!!!

 

 

とりあえず書けることは書いた!!と思います!!!

とにかくこの回のドンビクは新しい発見が多すぎて、他の回との違いも顕著で、髪型のことなんて最終的には記憶から追いやられてしまいました。
この翌日のドンミンや翌週のドンチサではわりと7月と同じ方向性だったので、この回だけ突然変異だったんだろうか……
とにもかくにも、見に行けて本当によかったです!!!


この日のドンチサは「この世にたった一人の信者と、その信者を生け贄にして破滅した教祖様」って表現が似合うかなあと思いました。
呪いを打ち破るため、神に抗うための刃を磨き続けた教祖様。命も心も救ってくれた太陽に全てを捧げた愚直な信者。
結局、チサンアンリの信仰はドンビクを破滅の道へ導く最後の一手となってしまったんですけれどね。

やっぱり、ドンチサは地獄で幸せになってくれ~!!!って思わずにはいられません。
二人とも天国には行けないけれど、地獄で先に待ってたアンリがビクターを迎えてくれる図が浮かぶので。その後ろには家族や他の皆もいる。
幕が下りたあとにハッピーエンドが待ってるんですよ……ドンチサは愛の物語なので……

 

これ以上語っていてもポエムしか出てこないのでこのへんにします。

長ったらしく失礼しました!こんなにわけわからん量書くのはこれっきりです!

もう1回だけでもいいからドンチサ見せて~~~;;;釜山公演キャスケに祈りを捧げるしかない……